Metri 生物性の実験

2007


CD: 松井龍哉、星野裕之
CCD: 林摩梨花
D: 林摩梨花 
P: 岡本成生
あなたは、「ロボット」と「機械」の違いは何か、と聞かれたら何と答えるだろうか。何を「ロボット」と呼び、何をそう呼ばないのだろうか。
「ロボット」という言葉は人それぞれの解釈がある、幅広い概念である。今回、ロボットと機械を分けるポイントは、それを「意図や目的を持つ他者」として見なせるかどうかではないか、そしてそれを決める何らかの性質が、中心に近いところにあるのではないかと考えた。
このロボットでは、その性質とは生物性(animacy)、つまりそのものの動きが生き物のように感じられるかどうかである、と定義した。「機械」を「ロボット」にする鍵としての生物性、そう捉えたとき、ロボットを作るということは何がロボットであるかを作ることであるとともに、何が「生き物らしさ」であるかを作ることでもある。
未来のフラワー・ロボティクス社をシミュレーションした展覧会(2007年水戸芸術館)で、研究開発室の一角では、ロボットの技術的側面だけではなく、ロボットが人間に与える心理的影響の側面についても研究していると設定した。その事例として展示したMetriは、これまでの静的なプロダクトの延長としての「硬い殻」とは質的に異なる、柔らかい「肉」を持っていた。
生き物らしさを作る一手段としての「肉」(という関係性)をどう扱うかということはロボットを作る上でひとつ大切な点だと考えている。
※Metriは、フラワー・ロボティクス社が協力し、東京大学学際情報学府学生の実際の研究の一環として製作された
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