P-noir(Pierrot-noir)

2001


CD: 松井龍哉
CCD: 松井龍哉
D: 松井龍哉、星野裕之 
TC: 理想科学工業株式会社、株式会社サンク・アール
P: モリユタカ
「ヒューマノイドロボットに人は何を見ているのか?」
という私たち自身の疑問に、ある結論を出したプロジェクトである。

私たちはフラワー・ロボティクス社を設立する以前に、ヒューマノイドロボットの開発に携わり、世界のあちこちでデモンストレーションをおこなっていた。常に賛同を得たものの、実際にロボットの意図していることはあまり問題にされず、「人間のように振る舞う」仕草に人々は熱狂していた。その光景、観客との温度差は、私たちに奇妙な問題意識を投げかけた。
ヒューマノイドロボットの現時点(当時)での最大の機能は、「ピエロの仕事」という事実を冷静に受け入れた。そこで(情緒的な理由も含むが)人の動きを多種センサーで検知して自らの行動をあらかじめ定められた運動のデータから選択し一緒にダンスをする黒いピエロのロボットを開発した。
P-noirはまさに、予定された行動しかできない非創造的な人工物で、不自然な要素を技巧的に合わせたデザインである。女性ピエロ、黒、シリコン素材による違和感。笑う顔と泣く顔の2種類を使い分け、自由度を持ち、さまざまな動きを表現する。踊る時にはオルゴールが鳴りショパンの「別れの曲」が奏でられる。
このピエロが踊る情景を見た観客は、ロボットとピエロの役割の違和感にシュールな実感を持つことになる。観客は私たちが意図した「本質的な将来のヒューマノイドロボットの機能や可能性」について冷静に考え始めた。
私たちが意図するロボットデザインの視点は、人寄せ機能ではなく、利用環境と機能を融合させるインターフェイスとして有効かどうかである。ロボットはあくまで人間の生活環境に適した機能を誠実にシステム化し、具体的な存在理由をデザインするべきである、という思想を体現したロボットである。
Back to Top