Posy
2001
フラワーガールをコンセプトとしたロボット
CD: 松井龍哉
CCD: 松井龍哉
D: 松井龍哉、星野裕之
TC: セントラル技研工業株式会社、
株式会社サンク・アール
P: 岡本成生
© フラワー・ロボティクス株式会社、日本SGI 株式会社
人間とロボットが共存する社会を想い描いてみる。
身体性と、数学的認知性の特定部分では人を軽く越えてしまうロボットたちは、どんな姿で私たちに接しているのであろうか?
(具体的な存在理由のある)人間型ロボットをデザインするなら、そのロボットが活動する環境を想像するところから始めなければならない。接する人間の心象をどこまで考慮すれば、その場所で人とロボット双方の能力が寄り添い、違和感なくひとつの風景となれるのか。
結論から言えば、ロボットデザインの入り口と出口はランドスケープデザインである。デザインする対象は人とロボットの能力がコミュニケートして生まれる新しい環境なのだ。
人による形の想像は、古代より最も身近な芸術表現として扱われてきた。
人類は既に、人の形に対する「成熟しきった美意識」を根底に持っている。妙な違和感や無防備なデザインは、それを見た人が瞬時に心を閉ざす大変デリケートな要因となる。
「Posy」は存在そのもののコンセプトがフラワーガール(結婚式で花嫁を先導する天使のアイコン)である。バージンロードを歩き、花を渡すだけの機能しか持っていない。しかし、「Posy」は3 歳の少女の無垢な世界観を発散させ、周りの空気を一新させる力を持つ。「Posy」がそうさせているのではなく、見る人が自分の内面を遊泳する結果なのだ。
その精神の果てにある情景こそ、私たちがロボットを通じて見ている高貴な世界そのものなのである。フラワー・ロボティクス社最初のロボットの小さな体には、私たちの未来への理想が託されている。